陽子線治療(永守記念最先端がん治療研究センター)
陽子線治療(永守記念最先端がん治療研究センター)

外来受付中
2019年4月保険診療・先進医療開始

陽子線治療について

陽子線治療とは

一般的な放射線治療では、エックス線やガンマ線などの光子線と呼ばれる電磁波を用いて治療が行われますが、陽子線治療では、放射線の一種である陽子線という粒子線(高エネルギー原子核の流れ)を用いて治療が行われます。水素原子から原子核である陽子を取り出し、加速した陽子の束(陽子線)を病変に当てることで治療します。

陽子線治療とは

陽子線治療の特徴

一般的な放射線治療で用いられているX線では、深部方向の放射線の広がりを制御することはできません。このため、X線治療では、体を貫通するX線の通過経路全長にわたり、体に放射線が当たることになります。一方、陽子線では、一定の深さで粒子が止まり、止まった先には放射線が広がらないという性質(ブラッグピークという物理学的特徴)があるため、深部方向の放射線の広がりを制御することが可能です。このため、陽子線治療では病変の奥にある正常組織への放射線の影響を最小限に抑えることができます。このように、陽子線治療は、放射線を病変部に集中して体に優しい治療を提供できる可能性があります

陽子線治療の特徴

陽子線治療装置

最適な画像誘導放射線治療IGRT(image-guided radiotherapy)により高精度な治療を提供します。内蔵されたX線撮影装置により、2次元画像(X線撮影)、3次元画像(CBCT、コーンビームCT)や透視画像が撮影可能であり、体内病変を正確に狙い打ちます。また、体内に金属マーカーを留置することで動体追跡照射が可能です。

陽子線治療装置

当院の陽子線治療装置の特徴

スポットスキャニング法を用いた高精細な治療が可能

スポットスキャニング法は、細い陽子ビームを走査して、ピンポイントで当てたい部位に陽子線を照射する方法です。高精細な照射により正常組織への影響を最小限に抑え、体に優しい放射線治療を提供します。

動く病変にも動体追跡照射技術を用いて高精度に治療

体内に留置したマーカーを利用して、病変の体内運動を監視しながら治療を行い(動体追跡照射)、病変の様々な体内運動に対応した高精度な治療を実現します。この動体追跡照射により正常組織への影響を最小限に抑え、体に優しい放射線治療を提供することが可能です。

動体追跡照射技術は北海道大学で研究開発が行われ、日立との共同開発により陽子線治療装置に導入されました。病変位置を体内に留置したマーカーを追跡することで同定し、呼吸等により体内で動いている病変を3次元的に捉えて高精度に照射を行う技術です。

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