疼痛・緩和ケア科(ペインクリニック)
疼痛・緩和ケア科(ペインクリニック)の紹介
ペインクリニック外来は、2014年度より 「疼痛・緩和ケア科」 と名称を新たにし、従来のペインクリニック外来の診療内容に加え、がんやその治療によるさまざまな苦痛(痛み、倦怠感、吐き気、息苦しさなど)を緩和する診療(緩和ケア外来)を充実させた体制となりました。外来では局所麻酔薬を用いた神経ブロック治療を中心に行っています。超音波装置を2台備えており、最近では超音波ガイド下に効果が正確、確実な神経ブロックを行っています。また、神経破壊薬や高周波熱凝固装置を用いた特殊な神経ブロックも行っています。重症例、手術適応症例では入院による治療も積極的に行っています。
診療内容
ペインクリニック外来は、再診はすべて予約制ですが、初診は随時受け付けています。 緩和ケア外来は、原則として予約制で紹介患者さんのみの診療となります。
■疼痛・緩和ケア科(ペインクリニック)で扱う主な疾患とその治療
(1)帯状疱疹・帯状疱疹後神経痛、複合性局所疼痛症候群(CRPS)、頭痛、三又神経痛、大後頭三又神経症候群、口腔内疼痛、腰下肢痛、術後創部痛、肩こり、中枢痛、外傷後の痛み、下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)による下肢の潰瘍、痛みなどを中心に診断・治療を行い、顔面神経麻痺、顔面痙攣など非疼痛疾患に対しても神経ブロックを応用した治療を行っています。その結果が、外来患者数の多さ(100〜150名/日)と紹介患者の多さに反映され、十分に誇れるものとなっています。
(2)局所麻酔薬による神経ブロックは外来でも可能な手技で、特に当外来で最も多用されている星状神経節ブロックは、頭痛などの頭頚部の痛みが症状となる疾患、帯状疱疹痛、上肢の血行障害、顔面神経麻痺、突発性難聴など広い適応症を持っています。また、帯状疱疹痛に対しては入院下に持続硬膜外ブロックや交感神経節ブロックを行い、高い治療効果を上げています。胸部・腰部交感神経節ブロックなどは帯状疱疹後神経痛、CRPS、ASOなどの痛みに有効です。腹部内臓由来のがん疼痛に対しては内臓神経ブロック、腹腔神経叢ブロックなども積極的に行っています。三又神経痛には超音波およびX線透視下に高周波熱凝固法を行いた神経ブロックを行い、小侵襲で高い効果を得ています。眼瞼痙攣、顔面痙攣、痙性斜頚に対してボツリヌストキシン注射による治療を行っています。また、神経ブロック療法に加えて、薬物療法として消炎鎮痛薬やオピオイド、その他の鎮痛補助薬の処方に加えて漢方薬の処方も積極的に行っています。
(3)低出力レーザー療法、キセノンレーザー療法は、痛みを伴わず、簡単で治療時間が短く、合併症がないなどの利点がある非侵襲性治療法であり、最近特に多く施行されています。適応症として、帯状疱疹後神経痛、肩関節周囲炎、腰痛症、CRPSなどがあり、星状神経節への照射は局所麻酔薬によるブロックと同様の効果があるため、神経ブロックに対し恐怖感を持つ患者にも有効です。また、鍼治療の一種で、鍼を刺さないでツボに小さい表面電極を置き低周波を流すSSP治療も行っています。
(4)難治性腰下肢痛に対して、硬膜外内視鏡手術(エピドラスコピー)による治療を積極的に行っており、2009年度より先進医療の承認を受けています。また、硬膜外埋め込み式脊髄刺激電極による難治性の痛みの治療も行っています。
(5)がんとその治療による様々な身体的苦痛(痛み、倦怠感、吐き気、息苦しさ、など)精神的苦痛(不眠、不安、気持ちのつらさ)、その他の問題に対して、薬物療法、神経ブロック療法、ケアなどを組み併せて、症状緩和を行います。また、16床の緩和ケア病棟を併設し、がん患者さんとそのご家族が安心して過ごすことのできる環境づくりをサポートします。
特色・主な取組
■実際の診療
病名・病態 | 必要な診療 |
---|---|
帯状疱疹・帯状疱疹後神経痛 | 硬膜外ブロック、星状神経節ブロック、腰部交感神経節ブロック、胸部交感神経節ブロック、その他神経ブロック療法、薬物療法 |
頭痛 | 星状神経節ブロック、その他神経ブロック療法、薬物療法 |
三叉神経痛 | 各種三叉神経ブロック、レーザー治療、薬物療法 |
口腔内の痛み | 星状神経節ブロック、その他神経ブロック、レーザー治療、薬物療法 |
肩こり | 星状神経節ブロック、トリガーポイント注射、その他神経ブロック療法、薬物療法 |
腰下肢痛 | 硬膜外ブロック、各種神経ブロック、トリガーポイント注射、硬膜外内視鏡手術(エピドラスコピー)、脊髄刺激電極装置、薬物療法 |
肋間神経痛 | 肋間神経ブロック、その他神経ブロック、薬物療法 |
複合性局所疼痛症候群(CRPS) | 星状神経節ブロック、腰部交感神経節ブロック、胸部交感神経節ブロック、その他神経ブロック療法、薬物療法 |
中枢痛 | 薬物療法 |
術後創部痛 | 各種神経ブロック療法、レーザー治療、薬物療法 |
下肢閉塞性動脈硬化症、バージャー病 | 硬膜外ブロック、腰部交感神経節ブロック、レーザー治療、動脈内注射、薬物療法 |
がんとそれに関連する様々な苦痛(痛み、倦怠感など) | 各種神経ブロック(腹腔神経叢ブロックなど)、薬物療法、緩和ケア |
顔面痙攣、眼瞼痙攣、痙性斜頚 | ボツリヌストキシン注射、薬物療法 |
顔面神経麻痺 | 星状神経節ブロック、薬物療法 |
その他 | 様々な原因による神経障害性疼痛、慢性疼痛に対する治療 |
■当科の対応
局所麻酔薬による各種神経ブロック、超音波ガイド下に確実な神経ブロックを行います。 低出力レーザー、キセノンレーザーの局所照射、SSP療法による痛み治療を行います。 NSAIDs、オピオイド、各種鎮痛補助薬、漢方薬を用いた薬物療法を行います。 予約制でアンギオ室にてX線透視下神経ブロックを行います。 重症例では入院により集中的、持続的に神経ブロック療法を行います。 手術療法としては硬膜外内視鏡手術(エピドラスコピー)、脊髄刺激電極刺激装置植え込み術などを行っています。 各種がんによる痛みに対して神経ブロック療法、薬物療法などを組み合わせて行います。 緩和ケア外来では、がん緩和ケアについての受診を行っています(紹介患者様のみ)。 その他、急性期慢性期を問わず、様々な原因によって生じる神経障害性疼痛、慢性疼痛、難治性疼痛に対しての治療を積極的に行っています。
スタッフ紹介
氏 名 | 職 名 | 所 属 | 専門分野・認定等 |
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天谷 文昌 | 部長 | 疼痛・緩和ケア科 |
日本麻酔科学会指導医、
日本ペインクリニック学会認定ペインクリニック専門医 日本集中治療医学会専門医、日本救急医学会救急科専門医 |
上野 博司 | (疼痛緩和医療部副部長) | 麻酔科 |
日本麻酔科学会指導医
日本ペインクリニック学会認定ペインクリニック専門医 |
小川 覚 | 副部長 | 疼痛・緩和ケア科 | 日本麻酔科学会認定麻酔科専門医 日本心臓血管麻酔学会認定心臓血管麻酔専門医 |
早瀬 一馬 | 主任 | 疼痛・緩和ケア科 | 日本麻酔科学会認定麻酔科専門医・指導医 |
藤原 恵 | 医員 | 疼痛・緩和ケア科 | 日本緩和医療学会専門医 日本麻酔科学会認定麻酔科専門医 日本ペインクリニック学会認定ペインクリニック専門医 日本救急医学会認定救急科専門医 |
仲宗根 ありさ | 医員 | 疼痛・緩和ケア科 | 日本緩和医療学会専門医 日本麻酔科学会認定麻酔科専門医・指導医 日本ペインクリニック学会認定ペインクリニック専門医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 |
永井 義浩 | 医員 | 疼痛・緩和ケア科 |
日本緩和医療学会専門医 日本麻酔科学会認定麻酔科専門医 |
松尾 佳那子 | 医員 | 疼痛・緩和ケア科 |
日本麻酔科学会認定麻酔科専門医・指導医 日本専門医機構認定麻酔科専門医 |
大屋 里奈 | 医員 | 疼痛・緩和ケア科 | 日本麻酔科学会認定麻酔科専門医 日本ペインクリニック学会認定ペインクリニック専門医 |
越田 晶子 | 医員 | 疼痛・緩和ケア科 | 日本麻酔科学会認定麻酔科専門医 |
前田 知香 |
医員 |
疼痛・緩和ケア科 |
日本麻酔科学会認定麻酔科専門医・指導医 |
藤井 誠 | 医員 | 疼痛・緩和ケア科 |
日本内科医学会認定総合内科専門医 日本消化器病学会専門医 日本消化器内視鏡学会専門医 |
岡田 薫 | 医員 | 疼痛・緩和ケア科 | 日本麻酔科学会認定麻酔科専門医 |
研究へのご協力のお願い(オプトアウト)
当科では下記の通り、京都府立医科大学医学倫理審査委員会の承認を受けた研究を行っております。
これらの研究への協力を希望されない場合、もしくは内容にご不明な点がある場合は、各研究の担当者へお知らせ下さい。
研究課題名 | |
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No. 001 | |
No. 002 | 術前患者のオピオイド性鎮痛薬服薬状況に関する調査 |